QCDSEについて知ろう! 施工管理における優先順位や取り組みを徹底解説
建設業界に関わっている方や建設業界で働くことを志している方は「QCDSE」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
QCDSEは施工管理において大切なキーワードとなっているため、建設業界に興味がある人は意味や優先順位を知っておくと良いでしょう。
今回はQCDSEについて解説すると共に、優先順位や白岩工業で実際に行っている取り組みについてご紹介いたします。
実際に新入社研修で教えている内容もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
QCDSEとは?
QCDSEとはQ:Quality(品質)、C:Cost(原価)、D:Delivery(工程、工期)、S:Safety(安全)、E:Environment(環境)の頭文字を取った言葉になっており、施工管理では必要不可欠な考え方です。
質の高い建設物を、決まっている予算、工期を遵守して、建設現場における安全性と環境にも配慮しながら完成させることの重要性を意味しています。
より詳しく施工管理の仕事について知りたい方はこちらも合わせてご覧ください。
QCDSEの優先順位
施工管理におけるQCDSEの優先順位は、頭文字の順番そのものではありません。
品質、原価、工程・工期はもちろん大切ではありますが、そればかりを優先し、従業員の安全や環境に配慮をしないと結果的に、良い建設物を作ることは難しいでしょう。
まずは安全第一と言われるように、最優先すべきは働く人達が安全に作業を行えることです。
また、QCDSEはどれかひとつかけても成り立ちません。一つひとつが大切な要素です。
QCDSEの意味と具体的な取り組み
ここからは実際に一つひとつの言葉の意味を確認し、白岩工業の新入社員研修で教えている内容を踏まえて具体的な取り組みを紹介していきます。
Quality(品質)の意味
施工管理におけるQuality(品質)は、建設物の品質・安全のために、設計書に基づいた工事や、強度や耐震などの基準を満たすことを管理します。
建設物は時間の経過と共に劣化してしまいますが、品質が低いと劣化する年数が早くなってしまう危険性があります。
高い品質で安全性を確保し、利用者の方々の安全を守る必要があります。
Quality(品質)の具体的な取り組み
白岩工業では主に躯体工事を行っているため、コンクリートの品質が大きく関わってきます。
特に最終段階としてコンクリートを打設する作業では、あばたやジャンカと呼ばれる欠陥が発生すると漏水を引き起こしたり、ヒビから空気が入って鉄筋が錆びてしまうことから劣化の原因になります。
「100年持つ」といわれているコンクリートですが、特に公共交通機関である地下鉄や高速道路において品質が低いと、崩落などの大災害につながる危険性があります。
コンクリートの品質を高めることで、何十年先でも強度や耐久性を維持できる建設物を作ることにつながります。
また、打設の作業に注力するだけではなく、構造物の大きさやコンクリートの厚みなど、最終的に建設物全体の品質を確認しながら施工する必要があります。
また、ダムや建設物は建築とは異なり、壁紙を貼るなどコンクリート上へ行う加工がないため、コンクリートの継ぎ目がまっすぐであることも大切です。
現場では内部の質だけではなく、見てわかる質にも注意しています。
コンクリートで注意すべきポイント
コンクリートの打設は、現場によって作業スペースが狭いこともあります。
狭い空間で長時間作業を行うことで体調不良やミスがより発生しやすくなる状況こそ、細心の注意を払う必要があります。
例えば、交代要員の人員を増やすなど、周囲の状況を確認し、作業全体を考えながら進める必要があります。
02.夏場のコンクリート作業
暑い時期ではコンクリートが固まる速度が速くなることがあります。
暑さによってコンクリートが配管内部で固まり詰まってしまった場合、配管が破裂する可能性があるため、一度配管内の掃除をする必要があります。
ですが、現場では配管の掃除をしている間にも流し込んだコンクリートは固まり始めてしまうため、コールドジョイントと呼ばれる隙間ができてしまう可能性が高まります。
そういった品質の低下を防ぐため、作業工程の調整を行う必要もあります。
03.寒い地域で行うコンクリート作業
暑さとは反対に、寒い地域ではコンクリートが固まらないこともあります。
コンクリートが固まらないままに、表面の水分が凍ってしまった場合もコールドジョイントを引き起こすことがあるため、寒い現場ではジェットヒーターを導入することもあります。
04.雨の日のコンクリート作業
雨が降る予報の日は原則としてコンクリート作業は行いません。
ですが、夕立など突発的な雨が降った際に中止にすることは難しく、緊急でブルーシートの屋根を作ったり、雨水を吸い出す専門機械を使用して対応します。
Cost(原価)の意味
原価は業界を問わず、利益を出すために必要な管理です。
原価に掛かるものは人員もそうですが、機械や用具、宿舎など多くのものを考えながら計算をする必要があるため、工事全体の利益を意識する必要があるのです。
初めから高レベルなことは求められませんが、日々頭の中で原価管理の考え方は忘れてはいけません。
Cost(原価)の具体的な取り組み
現場でコストダウンを行うためには作業効率を考えることが必要です。
現場では必要な人員を削ったり、資材にかかる費用を下げることは難しい場合が多いため、作業中でできる取り組みから意識改革をしています。
例えば、地下や高層ビルで行う作業では、必要な資材や道具を運搬する必要があります。
その際に道具がバラバラに置かれていると、物が紛失したり、探す手間がかかる分作業がスムーズに進まない状況に陥ってしまいます。
使う順番、使いやすい配置を考えて運搬を行うことで、効率よく作業を進めることができます。
また、原価管理では見積もりを作成します。
その見積もりの中に歩掛という 1人でどのくらいの作業量ができるか、作業に何日くらいかかるか、といったスケジュールの管理も入れています。
そのため、現場を管理する人間は見積もりの中身をよく把握して、現状はどうなのか、把握しながら仕事を進めていくことも大切です。
Delivery(工程、工期)の意味
現場は小さな工期の積み重ねで考えられているため、現場監督はその工程・工期を理解し、その納期通りに工事が進んでいるかの確認だけでなく、遅れている場合の対処等を考えることも仕事です。
無理やり工程を早めたり、変更したりしてしまうと安全性や原価の面でバランスが取れなくなってしまうこともあるため、全体を考えた調整が必要となります。
完成が早ければ余裕もでき、安全にも時間を掛けられるだけでなく、お客様にも早くできることで喜んでいただけることも多いので、安全やコストに気を付ける工夫をしながら工程管理をきちんとできる現場監督になっていきましょう。
Delivery(工程、工期)の具体的な取り組み
工程を守るために最も大切なのは、「後戻りだけは絶対してはいけない」ということです。作業で失敗してしまうとやり直しになってしまうため、工程・工期を守ることは難しくなるでしょう。
そして、施工管理の仕事としてはいかに効率よく、工期よりも早く終わらせることができるかを考えています。
工期が少しでも縮まるということは、効率や品質が良いことにもつながり、反対に工期が遅れるということは品質不良や作業の不備があったということです。
作業を行う際は図面を見ながら作業手順書を作成し、各作業員に共有を行った上で、効率や品質についても細かな指示を出しながら進めることが大切です。
また、工程・工期に関しては納期など元請さんの要望もあり、暑い中や雨の中でもコンクリートの作業を依頼されることがあります。
施工管理職では現場で培った知識や経験を基に中止・延期の判断をしつつ、できるだけ要望に近づけることも意識する必要があります。
Safety(安全)の意味
安全の管理は現場管理をしていく中で最も重要な要素です。
建設現場には一歩間違えれば大怪我や死亡災害に繋がりかねない危険な作業や場所が多く存在しています。
働く人の命を守るために、労働安全衛生法(職場における労働者の安全と健康を確保するための法律)が定められていたり、不安全行動をしない・させないための安全教育や一人ひとりの安全に対する意識の向上が求められます。
現場監督だけではなく、現場に関わる全ての人が安全に配慮して、何が、どのように、なぜ危ないのか、そしてどのようにすればいいのかまでを考え、一緒に動いて修正をしていくようにしましょう。
Safety(安全)の具体的な取り組み
現場での安全対策としては、第一に安全に関する法律を遵守することが大切です。足場の幅や手摺の高さなどは全て安全法によって細かく決められています。
そして、安全法以外の内容でも、「危ない!」感じた事は全て「不安全行動」となります。
例えば、現場が散らかっていると作業に使う用具や鉄クズなどのゴミが足元にあり、怪我につながりやすい状態になってしまいますよね。
不安全行動をしない・させないために物を綺麗に使う、安全に作業を進める、など一人ひとりが常に安全意識を持って働くことも大切です。
また、現場では作業に集中しすぎて周りが見えにくくなってしまったり、現場に来たばかりの作業員さんは慣れておらず怪我をしやすくなってしまうこともあります。
特に事故が起きてしまった場合、災害の原因追求や対策を取る必要があり、現場全体が止まってしまうだけではなく、被害者やそのご家族がつらい思いをしてしまいます。このような悲惨な事故を絶対に起こさないためにも、安全は何よりも優先されるべき管理項目です。
そして、夏は特に熱中症対策にも注意しています。空調服の使用やクーラーが効いた涼める場所の用意、スポーツドリンクなどの常備は必ずしています。
持病のある方など個人の健康状態も、会社全体でフォローアップする体制を整えておくことが大切です。
怪我や体調不良なく、安全に作業を進めるためには日頃から危険な箇所について声をかけあったり、それぞれの様子に気を配ることも大切であり、個人個人で注意してもらうことも必要です。
Environment(環境)の意味
一般的に「環境」とは自然環境や周辺環境をイメージするかと思いますが、白岩工業のようなサブコンでは、それらに加えて仕事環境や職場環境などの意味も含んでいます。
そのため環境管理には様々な要素があり、例えば環境保護を考えて産業廃棄物を適切に仕分け・処理したり、周辺(地域)環境を配慮した清掃活動であったり、職人さんが快適に働くことができる職場環境作りなど、多くの活動を指しています。
原価や工程・工期にばかりにとらわれず、「働く人を大切に」という観点から現場の全員が気持ちよく働くことができる職場環境作りは大切にしましょう。
Environment(環境)の具体的な取り組み
環境管理には、先程挙げた通り様々な種類があります。
快適な職場環境作りのためには、現場や事務所における5S活動(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5つのSから始まる言葉の総称)を常に心がけ、働きやすい環境にする必要があります。
さらに近年では建設業界においても女性職員が増加してきていることもあり、女性専用の更衣室を設置したり、高い場所に物を置かないように配慮したりするなど、性別や年齢問わず、誰もが過ごしやすく働きやすい環境作りを行っています。
また、ゴミの分別や近隣住民の方への挨拶といった一般的なものから、川や山の汚染をしない作業環境など地域への取り組みも大切でしょう。
白岩工業の取り組みとして、上記のような物理的な環境のみならず、心理的にも働きやすい職場環境作りに取り組んでいます。例えば新入社員の現場配属後は人事担当者が定期的に現場訪問をしたり、現場・営業所・本社が一体となって社員のフォローを行ったりするなど、個人の悩みや困りごとはいつでも相談できる環境を目指しています。
それ以外にも、社員の衣食住をはじめとする生活環境の向上を目的に福利厚生の一環として社員寮の運営も行っています。
社員寮は神奈川県の鶴見寮と千葉県の市川寮があり、それぞれ白岩工業の社員であれば誰でも入寮することができます。
大浴場や食堂といった各種設備など、生活の基盤である衣食住が整った環境を光熱費込みで9,000円といった価格で提供しているため、社員からも非常に好評です。
採用と教育で日本一のサブコンを目指す
さて、ここまで施工管理が現場管理を行う上で大切な「QCDSE」という考え方や意味、具体的な取り組みについてご紹介しました。
白岩工業では施工管理職のことを「現場のヒト・モノ・カネを扱う、いわば経営者のような存在」と例えておりますが、少しイメージが付いたでしょうか?
そして、それと同時に「難しそうな仕事」という印象を抱いてしまった方も中にはいらっしゃるかもしれません。現場の安全管理や労務管理、コスト管理に工程管理など・・・施工「管理」という職種名だけあって、管理しなければならない項目は多岐にわたるため、確かに施工管理職は非常に難易度の高い仕事と言えるでしょう。
しかし、20代という一番知識の吸収が早く、フットワークも軽い時期から着実に知識や経営において必要なスキルである「ヒト・モノ・カネ」の管理能力を身に付けていくことは、その後の成長曲線に大きな影響を与えます。
白岩工業では成長を望む人が成長を実現できるよう、サポートは惜しみません!「採用と教育で日本一のサブコンを目指す」という目標を掲げ、人財の採用と教育に会社を挙げて取り組んでおります。
ここまでお話ししてきた「QCDSE」についても、内定が出た後の内定者フォロー(=入社前教育)や新入社員研修において各部門の担当者より研修を行います。
1年目から全てを完璧にこなす必要はありません。日々学んだことを活かしつつ自分にできることを増やしていきましょう。
白岩工業の研修についてはこちらも合わせてご覧ください。
まとめ
QCDSEは現場管理を行う上で欠かせない、大切な考え方です。
優先順位はありますが、Q:Quality(品質)、C:Cost(原価)、D:Delivery(工程、工期)、S:Safety(安全)、E:Environment(環境)どれが欠けても良い現場とは言えません。
また、それぞれの要素は深くつながっているため、全体を見ながらバランスを考えて、現場管理を行い、良い現場、良い建設物を作るために意識して取り組むことが必要です。
今回は白岩工業の現場で実施している具体的な取り組みまでご紹介しました。
実際に現場で働く上で、気をつけなくてはいけないポイントのイメージをしっかりと持っておくことで、どのような場面においても対応することができる、現場で活躍できる人間になれるでしょう。