ダムにはどのような役割がある?一度は訪れたい日本のおすすめダムも紹介
河川の氾濫を防いだり、水資源の確保に使われたり、水力発電に活用されたりとさまざまな役割を持つダムですが、その魅力は機能面だけではありません。
周辺の大自然と、人工的に造られた巨大建造物が織りなすスケール感と景色は圧巻の一言!
近年は、ダムマニアと呼ばれる熱狂的なファンがいるほど、観光地としても人気を博しています。
そこで今回は、密かな人気スポット「ダム」に焦点を当て、種類や役割などの基礎知識を解説していきます。
さらに、一度は訪れたい日本全国のおすすめダムを10ヶ所リストアップしました。
ダムの情報だけでなく、所在地や公式ホームページも掲載していますので、お出かけの際の参考にしてみてくださいね。
そもそもダムとは何?
日本の人気ダムに行く前に、まずはダムの役割や種類といった基本的な情報をおさらいしていきましょう。
「ダム」とは、河川を横断して流水を貯留するために設置された巨大構造物のこと。
日本の河川法では、高さ15m以上の構造物と定められていますが、実際には砂防ダムや高さ15m未満の堰堤でもダムと呼ぶことが多いです。
また、ダムとよく似た構造物に「堰(せき)」がありますが、河川管理施設等構造令(政令)によると「堰は、流水を制御するために、河川を横断して設けられるダム以外の施設で、堤防の機能を有しないもの」と規定されています。
ダムの役割
ダムの役割はさまざまありますが、大きく「治水」と「利水」の2つに分類されます。
治水とは、大雨が降ったとき、水を一時的にダムに貯め込んで洪水による水害を最小限に抑えたり、河川環境保全のために川を流れる水量を調整したりすること。
利水とは、川の水をダムに貯めて水道水や田んぼ、畑などの耕作、水の力でタービンを回して発電したりと、水を上手く利用することをいいます。
近年話題の線状降水帯やゲリラ豪雨による水害は後を絶ちませんし、反対に川の水がどんどん減っていくと農作物が育たず、川に住む生き物も生きていけなくなってしまいます。
つまり、ダムは私たちの生活に欠かすことができない大切な役割を持っているのです。
ダムの種類
ダムは、主にコンクリートを材料とする「コンクリートダム」と、土や岩石を材料とする「フィルダム」の2種類があり、さらに型式によっても違いがあります。
重力式コンクリートダム
水圧をダムの重量で支える構造で、基礎地盤に適度な強度があれば建設可能。
アーチ式ダム
水圧などの外力を両岸で支えるようにアーチ型にしたダムで、両岸の幅が狭いところに作られる。
ロックフィルダム
石や岩石(ロック)を主材料に、砂れきや土などを盛り立ててつくる型式のダムで、比較的地質の悪いところでも構築が可能。
バットレスダム
水圧を受けるコンクリートの止水壁を鉄筋コンクリートの扶壁(バットレス)で支えるタイプのダムで、別名「扶壁式中空鉄筋コンクリートダム」とも呼ばれる。
中空重力式ダム
見た目や機能はほぼ重力式コンクリートダムと同じだが、コンクリート量を節約するために内部が空洞化されているタイプのダム。
アースダム
主材料に土を用いて、それを台形状に形成して建設するダムのことで、もっとも古典的な型式のダム。
コンバインダム
重力式コンクリートダムとフィルダム、複数のダム型式を組み合わせて建設されたダム。
一度は訪れたい日本の有名なダム10選
八ッ場ダム(群馬県)
最初に紹介するのは、白岩工業も建設工事に携わった群馬県吾妻郡に位置する「八ッ場(やんば)ダム」です。
2020年に運用を開始したばかりの新しいダムですが、観光用のエレベーターも設置されていて、「なるほど!やんば資料館」では、建設する工程や仕組みを学ぶことができます。
もう一つの要注目スポットは、八ッ場ダム建設事業の一環として整備された橋長590mの「不動大橋」。
軽量で景観性に優れ、コストダウンも実現できる「鋼・コンクリート複合トラス・エクストラドーズド橋」という世界初の複合橋梁で、そこから見える景色もまた格別です。
所在地 | 群馬県吾妻郡長野原町川原畑1121-31 |
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完成年 | 2020年 |
堤高 | 116m |
形式 | 重力式ダム |
公式サイト | https://www.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/index.html |
黒部ダム(富山県)
これまで誰も経験したことがなかった壮大なスケール、想像を絶する困難を経て、1963年に完成した「黒部ダム」です。
ダムの高さ186mは堂々の日本No.1!おそらく国内でもっとも知名度が高いダムではないでしょうか。
黒部ダム最大の魅力は、なんといっても毎年6月下旬~10月中旬に実施される観光放水で、毎秒10トンもの大量の水が流れる迫力満点の光景を見ることができます。
展望台やレストランといったスポットも充実しており、なかでも名物の「黒部ダムカレー」は、観光客に絶大な人気を誇っています。
所在地 | 富山県中新川郡立山町芦峅寺6 |
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完成年 | 1963年 |
堤高 | 186m |
形式 | アーチダム |
公式サイト | https://www.kurobe-dam.com/ |
宮ヶ瀬ダム(神奈川県)
首都圏最大のダムであり「ダム湖百選」にも選定されている「宮ヶ瀬ダム」は、都心からのアクセスも良く、観光スポットとしても有名です。
放流時間6分間にもおよぶダイナミックな観光放流は圧巻で、その迫力は黒部ダムにも引けを取りません。
ダムだけでなく、周辺には「水とエネルギー館」「県立あいかわ公園」などもあり、家族連れで楽しめるスポットになっています。
所在地 | 神奈川県相模原市緑区青山2145 |
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完成年 | 2000年 |
堤高 | 156m |
形式 | 重力式ダム |
公式サイト | https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u5r/cnt/f550/tabi-021.html |
徳山ダム(岐阜県)
東海3県の水がめとしてつくられた「徳山ダム」は、総貯水容量・堤体積ともに日本一を誇るロックフィルダムです。
総貯水量は浜名湖2個分となる6億6000万トン、ダム堤頂の長さは427mにも及びます。
特にお出かけにおすすめしたいのは紅葉シーズンで、迫力のあるダムと美しいオレンジの山々が、訪れた人たちを出迎えてくれますよ。
所在地 | 岐阜県揖斐郡揖斐川町開田448 |
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完成年 | 2008年 |
堤高 | 161m |
形式 | ロックフィルダム |
公式サイト | https://www.water.go.jp/chubu/tokuyama/ |
奥只見ダム(新潟県)
日本一のロックフィルダムが徳山ダムなら、日本一の重力式ダムは福島県檜枝岐村と新潟県魚沼市に跨る「奥只見ダム」です。
ダムがある奥只見湖は、江戸時代には銀の採掘が盛んだったこともあり、別名「銀山湖」とも呼ばれています。
日本紅葉の名所100選にも選出されている新潟有数の紅葉スポットになっており、なかでも奥只見湖遊覧船から眺める圧巻で、毎年県外からも多くの観光客が訪れています。
所在地 | 新潟県魚沼市湯之谷芋川 字大鳥1317 |
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完成年 | 1960年 |
堤高 | 157m |
形式 | 重力式ダム |
公式サイト | http://okutadami.co.jp/dam/ |
豊稔池堰堤(香川県)
中世ヨーロッパの古城を彷彿とさせる独特の風格で人気のダムが、香川県観音寺市にある「豊稔池堰堤(ほうねんいけえんてい)」です。
アーチ止水壁が複数連なった「マルチプルアーチダム」と呼ばれる極めて珍しい変わった型式のダムで、日本ではこの豊稔池堰堤と宮城県の「大倉ダム」の2ヶ所にしかありません。
その貴重な形状から、1997年には重要文化財(建造物)にも指定された唯一無二のダムを、四国に行く機会があれば、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
所在地 | 香川県観音寺市大野原町田野々 |
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完成年 | 1994年 |
堤高 | 145.5m |
形式 | アーチダム |
公式サイト | https://www.city.kanonji.kagawa.jp/soshiki/21/334.html |
白水ダム(大分県)
“日本一美しいダム”としてダム好きを唸らせるのが、大分県竹田市大野川上流にある「白水ダム」です。
日本の河川法では、堤高が15m以上のものをダムと定めているため、厳密に言うと白水ため池になるのですが、流れる水がまるで白いレースカーテンのように美しく”ダムの女王”、”森の貴婦人”とも呼ばれています。
国の重要文化財にも指定されており、黒部ダムのような圧倒的スケール感とはまた違った景色を楽しむことができますよ。
所在地 | 右岸:竹田市大字次倉3732-2、3732-5/左岸:竹田市荻町鴫田6225-3、6225-4 |
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完成年 | 1938年 |
堤高 | 14.1m |
形式 | 重力式ダム |
公式サイト | https://taketa.guide/spots/detail/52ff4cab-5ddc-4ab6-95bd-bcb537b3c908 |
浦山ダム(埼玉県)
都心から2時間ほどで来れる避暑地であり、近年は有名アニメの聖地として多くの観光客が訪れる、埼玉県秩父市にあるのが「浦山ダム」です。
堤高156mと、重力式ダムでは奥只見ダムに次ぐ全国2位の高低差を誇り、無料で自由に見学できる観光ルートもしっかり整備されています。
防災資料館「うららぴあ」では、ダムの仕組みや役割などを学ぶことができるので、ダムについて詳しく知りたいという方は、ぜひ1度訪れてみるとよいでしょう。
所在地 | 埼玉県秩父市荒川久那4041 |
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完成年 | 1998年 |
堤高 | 156m |
形式 | 重力式ダム |
公式サイト | https://www.water.go.jp/kanto/arakawa/ |
豊平峡ダム(北海道)
札幌市南区、支笏洞爺国立公園内にある北海道最大のダムが「豊平峡ダム」です。
豊平川の治水や水力発電を目的に完成したダムですが、北海道内で唯一6月1日~10月31日の期間限定で「観光放流」を行っており、水が作り出す大迫力のアーチを楽しむことができます。
さらに紅葉の名所としても有名で、周辺には他にも定山渓温泉や九段の滝などがあり、観光客に人気のレジャースポットになっています。
所在地 | 北海道札幌市南区定山渓7区 |
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完成年 | 1972年 |
堤高 | 102.5m |
形式 | アーチダム |
公式サイト | https://www.houheikyou.jp/ |
大間ダム(静岡県)
南アルプスから流れ出る大間川と寸又川の合流地点にある、静岡屈指の絶景スポットとして人気なのが「大間ダム」です。
大間ダムの魅力は、なんといってもエメラルドグリーンに輝く湖。これは”チンダル現象”と呼ばれる光の特性によって起こる物理化学の現象によるもので、水の底まできれいな水だという証でもあります。
もう一つの魅力はダム湖に架けられた「夢のつり橋」。絶好のフォトスポットであり、行くまでの道中は四季折々の自然を楽しめる人気の散策コースでもあるので、訪れた際は動きやすい靴を履いてハイキングを楽しみましょう。
所在地 | 静岡県榛原郡川根本町千頭 |
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完成年 | 1938年 |
堤高 | 46.1m |
形式 | 重力式ダム |
公式サイト | http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=1155 |
まとめ
ダムについての基礎知識とあわせて、一度は訪れたい日本のおすすめダムを10ヶ所紹介しました。
これだけの大型建造物となると膨大な時間と人々の努力が必要ですし、ダムの歴史や目的、役割を知っておくとより観光も楽しくなるでしょう。
また、ダム観光と同時に四季折々の自然を楽しむこともできますし、周辺にも資料館やレストラン、公園施設があるなど、施設が充実しているところも多いです。
ここで紹介した以外にも、全国には魅力的なダムはたくさんありますので、観光としてもぜひ一度訪れてみてください。